労働関係では「法定三帳簿」といわれるものがあります。
出勤簿
賃金台帳
労働者名簿
の3つの書類です。
もちろん、必要な書類・帳票類はこれ以外にも数多くあります。
今回は出勤簿についてご説明をいたします。
以前から必要とされている「法定三帳簿」ですが、中小零細事業所で「人数が少ない・月給で変化ないから」等の理由で作成していないケースがあるのも現実。
コロナ禍により休業をした事業所様が「雇用調整助成金」を申請する際、出勤簿は添付書類として提出が必要になっています。 そのため、慌てて調整することになり、手こずった事業所様も少なからずいらしたのではないでしょうか?
「出勤簿なんて、出づらが判れば良いんだろう?」と言われることが、ままあります。
その様な考え方での在りがちな記載に、出勤しなかった日をすべて「休」としてしまうケースがあります。
確かに「出勤した日」は判ります。 しかし、それ以外の「休」や、あるいは「何も書かれていない日」等がある場合、それがどの様な日なのか? これでは本人が欠勤したのか? 会社の所定休日なのか? 会社都合の休業なのか? さっぱり判りません。 このままでは助成金窓口の担当者も困ってしまうでしょう。
本来であれば、第三者にも一目で判るように記載する事が大切なのではないでしょうか?
〇所定労働日とは?
所定労働日とは「本来であれば当該労働者が出勤し、勤務すべき日」と定められている日の事です。 正社員の方であれば、会社の営業日と同義となるでしょう。
週3日、月・水・金の勤務の方ならば、この3日に業務に就けば「出勤」となります。 その日以外は勤務の義務がない、言ってみれば「所定休日」になる訳です。
所定労働日に業務に就かなかった場合は「欠勤」か「有給」か「代休」「振替休日」等か? あるいは「会社都合による休業」のどれかに該当するでしょう。
(「代休」「振替休日」については混乱しやすい問題であるため、別途ご説明します)
出勤簿は、これらの区別が付くような記載にしなければなりません。
所定労働日以外の日に勤務した場合には「休日出勤」になります。 出勤簿にただ「出勤」だけの記載では割増対象の勤務かどうか? 確認が必要になってしまいます。 割増賃金の対象になる休日出勤であならば、その点を明記しておく必要があります。 (「休日の振替」の場合は扱いが異なります)
コロナ休業により雇用調整助成金を請求する際には「コロナ休業(=会社都合による休業)」であることが明確に表示されている事が求められます。
社長様等役員や家族社員の方は、出勤簿を作成していない会社もある様ですが、社会保険の調査や給付にも使用される重要な帳票です。 この機会に是非見直しをして、明確な出勤簿を作成するように心がけましょう。
社員一人ひとりに作成する他に、月毎に全員を1枚にまとめて作る方法もあります。
検索をすれば様々なフォーマットが見つかると思います。 自社に合った、使い易い物をお選びいただくのが良いでしょう。
上記月毎一覧記載の出勤簿はこちらからサンプルをご覧いただけます。